インドの取引先からサービス提供を受けその対価を支払う際に、支払者には源泉徴収税(Tax Deducted at Source - TDS)の徴収義務があります。サービス提供者がPAN番号を有していない場合には、適用になる源泉徴収税率が高くなるため注意が必要です。
高税率での源泉徴収
源泉徴収対象の取引において、対価の受領者が自らのPAN番号を対価の支払い者に提供できない場合には、源泉徴収税として下記のいずれかの最も高い税率が適用となります(1961年インド所得税法第206AA条1項)(2025年インド所得税法第397条2項b号i)。
- 所得税法上定められた税率
- 租税条約や財政法で規定された税率(Rates in force)
- 20%(ただし、一定の支払については5%)
一方で、非居住者、外国法人が利息、ロイヤルティ、技術上の役務に対する対価(Fee for Technical Service - FTS)、配当または資本資産の移転の支払いを受ける際に、下記のすべての情報を提出することで上記の規定は適用されません(1962年インド所得税法規則第37BC条)(2026年インド所得税法規則第217条)。
- 氏名、メールアドレス、連絡先
- 自国での住所
- 居住者証明書(Tax Residency Certificate - TRC)
- 納税番号(Tax Identification Number - TIN)/ (TINが無い場合)固有に割り当てられた番号
デリー高等際の判決
租税条約では上限税率を規定しており、日印租税条約における使用料・技術上の役務にかかる対価の限度税率は10%と規定されています。そこで、インド国外の親会社等、PAN番号を有していない会社への対価支払時に、上記の規定又は租税条約 のいずれを優先して源泉徴収税率を決定するかが税務当局との見解に相違があり問題となる場合があります。
Air India Ltd.がインド所得税当局と争った件では、Delhi高等裁判所は、非居住者がPANを有しない場合であっても、租税条約上の有利な税率が適用される限り、上記の規定に基づく20%のTDSは適用されないと判決を下しました。さらに、最高裁もインド所得税当局の特別上告許可申立て(Special Leave Petition - SLP)を棄却して同判決を維持しています。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


