インド会社の取締役は、就任時に取締役識別番号(Director Identification Number - DIN)を取得しています。従来は、DINは一度取得すると恒久的にその番号を使用可能でした。
しかし、2018年度より2014年インド会社法細則(細則12A、取締役の任命及び資格(Appointment and Qualification of Directors))に基づき、会社登記局(ROC)は年次で取締役の身元確認情報(KYC)をアップデートするために期末日(3月31日)に取締役番号(Director Identification Number - DIN)の割当を受けている全ての個人は、翌年度9月30日までに身元確認情報を様式(DIR-3 KYC)を用いてROCポータルサイトから提出することが義務が付けられました。
手続きの流れとしては、必要情報を所定の様式(DIR-3 KYC)へ入力・各種身元確認書類を添付しROCへ提出します。提出の際には様式の認証用に登録の携帯番号・メールアドレスに2種類のワンタイムパスワード(One Time Password - OTP)がそれぞれ配信されます。配信された2種類のOTPを様式に入力し認証完了後提出が可能になります。OTPの有効期限が10分と非常に短く、海外居住の取締役との連携はビデオ通話などで接続しリアルタイムで行う必要があります。また、様式をアップロードする際に専門家(会社秘書役・勅許会計士等)による証明も必要となります。
尚、初年度の身元確認(KYC)完了後、次年度以降は登録情報に変更がない場合には新たな様式の提出は必要なく、ウェブ上から登録携帯番号及びメールへのOTPの配信による認証のみが必要となります。
必要情報
- 氏名
- 父親の氏名
- 生年月日
- PAN番号
- ID書類(パスポート等)
- 住所情報及び証明書類
- 携帯番号(外国居住の取締役は居住国の番号が必要)
- メールアドレス
※外国居住の取締役に関しては、ID書類及び住所証明書類に居住国の公証・アポスティーユを取得する必要があります。
※携帯番号、メールアドレスは他の取締役と重複して登録することできません。
※インド国内住所を選択した場合、携帯番号はインド携帯番号である必要があります。
ペナルティ
期日までに当該様式の提出が行われなかった場合、システム上「身元確認情報未提出による凍結(”Deactivated due to non-filing of DIR-3 KYC”)」と表示され、ペナルティ(5,000ルピー)を支払い当該情報を提出するまで解除することができません。
よくあるトラブル
- ROC当局のサイトが安定しておらず、認証用のOTPが適切に配信できない場合があります。
特に外国(インド国外)の携帯番号の場合、携帯SMSのOTPが配信されない場合があり時間を開けて(1日等)再度配信が必要になります。期限直前の対応を避け、前広に計画し対応することが重要です。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |