インド最初の鉄道は、ムンバイ‐タネ間を結ぶ34キロの区間で、その後総延長6,200キロまで延伸しロシア中国に次ぐ三番目の規模の鉄道となっています。建設目的は、当時植民地支配を行っていたイギリスが資源(綿花・石炭・紅茶)などを効率よく運搬し、国外へ運び出すためでした。建設コストの安さから主に狭軌の鉄道が敷設されたが、それ以外の軌道の幅も採用され当時積極的に軌道の幅が統一されることはなかった。これは、インド人がスムーズに国内を移動することが可能になるとインド人の団結力が高まり、独立機運が高まることをイギリスが恐れたためです。
組織としては、インド鉄道省(Railway ministry)直轄の国営鉄道会社として運営されており、140万人の雇用を創出する世界最大の従業員を抱える会社です。従来は、国家予算発表時の2月末に国家鉄道予算という、鉄道専用の予算が発表されていましたが2017年度からは通常の国家予算に統合されて発表される予定です。
2016年の鉄道予算では、寝台列車の予約システム、貨物列車の定時運行、最先端の安全技術導入、無人踏切の撤廃、列車の平均速度向上、準急行列車の導入などを掲げています。日本の新幹線方式に代表される高速列車の導入も予定していますが、それ以上に現行列車の平均速度を向上させることによって輸送効率を上昇させることが輸送量の増加につながると考えられています。また、PPP方式や外国直接投資の鉄道セクターへの開放なども行い、積極的に民間資本を活用しようとしています。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |