インドはOECDにおけるBEPSプロジェクトの議論を受け、Google、Facebook、Amazonなどのグローバル企業からのデジタル広告収入に課税するため、2016年6月に世界に先駆けてデジタル広告課税として平衡税(Equalization Levy)を導入しました。
従来の国際課税ルールでは課税対象とはならなかった恒久的施設(Permanent Establishment - PE)を有さない非居住者の法人に対して、一定のデジタル取引の要件を満たす場合には、対象となる取引に対して平衡税が課税されます。2023年10月時点でインドの平衡税の対象となる取引はデジタル広告(Online Advertisement Services)及び電子商取引(E-commerce Supply)の2種類です。
ただこの2種類では平衡税の納税方法が異なります。デジタル広告の場合の平衡税は源泉所得税(Tax Deducted at Souces - TDS)と同様、デジタル広告費用の支払い側が源泉徴収し納税します。一方で電子商取引の場合の平衡税は電子商取引事業者が自らインド国外から納税することになります。
なお、電子商取引に係る平衡税は2024年8月以降の廃止となります(2024年度財政法)。
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デジタル広告(2016年財政法第165条) |
電子商取引(2016年財政法第165A条) |
対象取引 |
非居住者から下記の者へのオンライン広告、デジタル広告スペースの提供又はその他のオンライン広告を目的とした機能・サービスの提供
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電子商取引事業者による以下の電子商取引の提供又は促進
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税率 |
受領する対価の6% |
受領する対価の2% |
支払義務 |
デジタル広告費用の支払者(源泉徴収方式) |
電子商取引事業者(インド国外から納付) |
支払期限 |
翌月7日 |
四半期毎に翌月7日等 |
申告期限 |
年次申告(Equalization Levy Statement – Form 1)を6月30日までに申告 |
年次申告(Equalization Levy Statement – Form 1)を6月30日までに申告 |
課税が除外される場合 |
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執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |