インドはOECDにおけるBEPSプロジェクトの議論を受け、2016年6月に世界に先駆けてデジタル広告課税として平衡税(Equalization Levy)を導入しました。
通常は課税対象となるPE(恒久的施設)を有さない非居住者の法人に対して、一定のデジタル取引の要件を満たす場合には、対象となる取引に対して平衡税が課税されます。2020年8月時点でインドの平衡税の対象となる取引はデジタル広告及び電子商取引の2種類です。
ただこの2種類では平衡税の納税方法が異なります。デジタル広告の場合の平衡税は源泉所得税(Tax Deducted at Souces - TDS)と同様、デジタル広告費用の支払い側が源泉徴収し納税します。一方で電子商取引の場合の平衡税は電子商取引事業者が自らインド国外から納税することになります。
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デジタル広告 |
電子商取引 |
対象取引 |
オンライン広告、デジタル広告スペースの提供又はその他のオンライン広告を目的とした機能・サービスの提供 |
i.電子商取引事業者による物品・サービスの提供 ii.電子商取引事業者による物品・サービスの仲介 iii.上記のいずれかの組み合わせ |
税率 |
6% |
2% |
支払義務 |
デジタル広告費用の支払者(源泉徴収方式) |
電子商取引事業者(外国から納付) |
支払期限 |
翌月7日 |
翌月7日(四半期毎) |
申告期限 |
年次申告(Equalization Levy Statement – Form 1)を6月30日迄 |
年次申告(Equalization Levy Statement – Form 1)を6月30日迄 |
課税が除外される場合 |
·サービス事業者が、インド国内にPEを有し、サービス提供が当該PEと関連性がある場合(つまり、サービスがインド国内で課税されている場合) ·サービス対価の総額が年間10万ルピーを超えない場合 ·サービス対価の支払いが事業目的(BtoB)でない場合 |
·サービス事業者が、インド国内にPEを有し、サービス提供が当該PEと関連性がある場合(つまり、サービスがインド国内で課税されている場合) ·左記のオンライン広告として既に課税対象である場合 · 電子商取引の総額が年間2000万ルピーを超えない場合 |
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |