GST(Goods and Service Tax)はインドの間接税制を抜本的に改革する新たな税制度です。2006年当時のチバムダラム財務大臣が予算発表スピーチの中で2010年4月1日を目標として推進することが発表されました。
その後、国民会議派政権からBJP政権への交代などの紆余曲折を経て、争点であったGST導入に伴う憲法改正案が2016年8月に上院で可決されました。憲法改正はGST導入に際して州政府が従来所轄していた間接税の徴税権を中央政府に移管するために必要な手続きです。憲法改正案はその後過半数以上の州にて批准され、大統領の署名を経て発効済です。
1. GSTに統合される税金
現行の各種間接税は、下表の通りGSTへ統合されます。
中央政府管轄 | 州政府管轄 |
中央物品税(Central Excise Duty) | 各州VAT |
医療・トイレ整備にかかる物品税(Duties of Excise) | 中央販売税(Central Sales Tax) |
特別重要物品にかかる追加物品税(Additional Duties of Excise) | 奢侈税(Luxury Tax) |
織物・織物製品にかかる追加物品税(Additional Duties of Excise) | 入境税(Entry Tax) ※市町村単位で課される以外の税 |
相殺関税(Countervailing Duty) | 遊興税(Entertainment & Amusement Tax) |
特別追加関税(Special Additional Duty) | 広告税 |
サービス税 | 購買税(Purchase Tax) |
サーチャージ・特別目的税(Cess) | 宝くじ、賭博、ギャンブルにかかる税 |
サーチャージ・特別目的税(Cess) |
2. GST導入によって期待される効果
- 物品・サービスの区別の明確化され、訴訟・二重課税が軽減する
- インド全土を包括する税制が導入され、市場規模が増大する
- 税務手続きが簡素化され、物流を迅速になる
- 複数の税が統一され、二重課税が撤廃される ⇒ 結果消費者価格の引き下げへ
- 多数の税率が削減され、少数の税率でより少ない例外規定での運用
- 輸出を促進する税制の簡素化
- 雇用促進
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執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |