LLPを現地での活動事業体の選択肢として上がるケースが散見されることから、その設立の流れについても紹介します。最低2名の指定社員(Designated Partner)が必要な点など、現地法人の取締役と類似する部分もあります。
1. 指定社員(Designated Partner)の選任
LLPでは、最低2名の指定社員(Designated Partner)が必要がある。また、指定社員のうち最低1名は前年度(4月1日~3月31日)に182日以上インドに滞在しているインド居住者である必要があります。既に指定社員候補者が、株式会社の取締役として取締役識別番号(DIN)を取得済の場合には、DINをDPIN(Designated Partner Identification Number - DPIN)の代替として使用することが可能です。
2. DSCの取得
各種設立に必要な申請書類は、指定社員の電子署名証書(DSC)を使用する必要があるため、電子署名証書の申請を行います。
3. 商号申請
会社登記局へ商号の申請を行います。最大4つの候補(一度の申請で2つ、2回まで申請可能)を準備し、優先順位の高い順に申し込むことが可能です。登記局へ提出し審査結果を待つが、既に商標登録されている場合、類似した商号が存在する場合など、候補が却下された場合にはその理由が明記され連絡くるので再度申請が必要となります。LLPの商号申請に際しては"RUN-LLP"と呼ばれる様式を使用します。また、商号申請の段階で予め時を行う州を決めておく必要があります。
4. LLP設立登記
商号の承認が取得完了次第、引き続き会社登記局へ設立登記を行います。LLPの設立登記に際しては”Form FiLLiP”と呼ばれる様式を使用し、問題がなければ申請から14日以内に設立登記が完了する。登記完了後は、会社と同様に設立証明書(Certificate of Incorporation - COI)が"Form 16"という様式にて発行されます。
5. LLP契約書の登記
設立登記後30日以内に、LLP契約書(LLP Agreement)を会社登記局に登記する必要があります。会社登記局への通知は、"Form 3"と呼ばれる様式を使用します。尚、LLP契約書をインド国外で作成した場合には、当該国での公証とインド大使館の認証もしくはアポスティーユの取得(ハーグ条約加盟国の場合)が必要となります。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |