1. 設立時取締役(First directors)
設立時に必要な取締役の人数は最低2名です。以下に紹介するインド居住取締役と合わせて最低2名選出してください。尚、取締役会の最低の定足数も2名となります。合弁などでパートナーがいる場合には自社で2名の定足数を満たせるようにしておくと、万が一の場合自社のみで取締役会が開催可能です。
2. インド居住取締役(Resident Director)
前年度(4月~翌年3月)の期間182日以上、インドに滞在していた者を居住取締役として選任する必要があります。インド国籍であることは義務付けられておりませんが、自社の従業員で選任が難しい場合には信頼のおける方に依頼することになります。居住取締役は最低1名選任する必要があります。尚、設立時に外国人が居住取締役に就任する場合、登記局ビジネスビザの提示を求められる場合があるので注意が必要です。
設立初年度は、設立日から日割りで計算されます(例:10月1日設立の場合は、91日)。
3. 発起人(Promoters)・株式の持ち分比率
会社設立時の株主として、最低2名の発起人を決定する必要があります。発起人は自然人(個人)又は法人のいずれもなることができますので、通常は親会社とグループ会社、親会社と代表者などが発起人となって会社を設立します。又、発起人が決定した場合それぞれの株式の持ち分比率を決定します。一方の発起人(株主)が実質の支配を目的としていない名目のみの株主の場合、1株などの極端に少ない株数を設定することも可能です。
4. 商号候補
4つ商号候補を作成します。既に登録されている社名や、登録されている商標と類似した社名を採用することはできません。事前に簡易チェックすることは可能ですが、最終的に登記局へ提出し担当官の判断となります。登録した商標などが存在する場合には商標登録している会社から異議なし証明書(No Objection Certificate-NOC)を取得することにより可能です。
5. 授権資本金・払込資本金額
資本金の払込上限である、授権資本と会社設立時に払い込む払込資本金額を決定します。授権資本額が大きいと増資の際に、スムーズに払い込みが可能ですが一方で授権資本額に応じた登録印紙税を支払わなければならないためあまり大きな金額を設定すると無駄が生じます。ただし、授権資本額の引き上げには定款の変更が必要なため株主総会の決定が必要となります。株主総会の招集が機動的に行うことが難しい場合には、事前に授権資本額を大きめに設定しておくことも可能です。
6. 会社登記州・住所
会社登記を行う州と住所の決定が必要です。会社登記住所は、自社で準備する場合とレンタルオフィスのような場所へ間借りする場合があります。間借りする場合には十分に信用のおける業者を選定してください。事後急に住所が使用不可能になったりすると、現地の事業運営の妨げとなる場合があります。また登記する州によって授権資本にかかる登録印紙税額が異なってきます。
7. 事業の主目的・定款
インド会社の主目的と定款を決定する必要があります。親会社の主目的をそのままコピーした場合、実際にインド側で不要な項目もあるため不必要な事業目的は削除します。また定款に関しては基本定款(Memorandum of Association)と付属定款(Article of Association)の2種類に分かれています。会社の自治に関しては主に付属定款で詳細が定められます。合弁の場合などには、紛争になった場合、取締役会や株主総会の開催にかかる規定が非常に重要になりますので事前によく作りこむことが重要です。
執筆・監修
![]() |
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
![]() |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |