資本金は、債権者にとって最終的な債務支払いの原資となる唯一の財源であるため、株式会社には通常の手続きとして減資は認められていません。しかしながら、事業上の真実の理由から時として株主資本を減少させる減資が必要となる場合があります。その理由は様々であるが、事業上の累積損失、資産の価値減少などが挙げられる。よってそのような場合、資本と資産の関係を減資手続きにより調整する必要があります。2013年会社法に移行した際に、減資手続きの認可は会社法審判所(National Company Law Tribunal)へ移管されると定められました。2016年6月にNCLTが設置された際に減資の承認についてはまだ高等裁判所から移管されていなかったが、12月15日より減資について定めた第66条が正式に発効し現在はNCLTの管轄となっていいます。手続きについては以下の通りです。
- 取締役会での承認
取締役会を招集し、過半数以上の決議を持って減資の承認を行う。また、同内容について臨時株主総会を招集する旨についても決議する。 - 株主総会での特別決議
株主総会で出席者の4分の3以上の賛成により、減資について特別決議をもって承認する。 - 会社法審判所(National Company Law Tribunal - NCLT)からの認可の取得
<主要な確認事項>
- 各債権者(Creditors)に対して減資の合意が形成されているか 又は
- 各債権者への支払いが履行された 又は
- 各債権の支払いが履行、清算、保証されているか
中央政府、登記局、証券取引員会(上場企業の場合のみ)、債権者へ通達を発し、減資に対して異議がないかを確認する。通達受領後3カ月以内になんらかの申し立てがない場合には異議がないとみなされる。 - NCLTからの減資に関する確認の公告
NCLTが減資に関する確認書(Order of confirmation of reduction of capital)を発した後、会社は所定の手段で公告しなければならない。 - 会社登記局への届け出
会社はNCLTの発行した減資に関する証明書と、承認を受けた議事録を確認書受領後30日以内に登記局に届け出なければならない
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |