2016年4月1日より高額な金融取引並びに一定の金融取引に関してはインド所得税当局へ報告書を提出する義務が課されています。2016年度には高額紙幣の廃止政策などが発表された影響もあり、その後報告対象の金融取引の範囲も拡大しました。
金融取引報告書の提出義務
会計帳簿の作成、保管義務が義務付けられえている者は、一定の金融取引に関して金融取引報告書(Statement of Financial Transactions - SFT)をForm 61Aという様式にて、翌年の5月31日までにインド所得税当局へ提出する必要があります(1961年インド所得税法第285BA条、1962年インド所得税法規則第114E条)(2025年インド所得税法第508条)。
報告対象の取引は13つに分類されていますが、以下多くの日系企業に関連する項目のみを抜粋して掲載します。報告義務者に該当する企業は、該当年度中に報告対象取引を行っていたかを確認し、対象取引が存在する場合には当該様式を提出しなければなりません。
| 報告対象取引 | 閾値 | 報告義務者 | |
| 1 | 当該年度内に社債、債権の購入資金として受領した資金(社債、債権の更新にかかる資金は除く) | 1年度あたり100万ルピ―以上 | 社債、債権の発行会社または機関 |
| 2 | 当該年度内に株式の取得資金として受領した資金 | 1年度あたり100万ルピ―以上 |
株式の発行会社
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| 3 | 物品の販売またはサービス提供取引の対価として受領した現金 | 20万ルピ―以上 | 税務監査の対象会社 |
<金融取引報告書の提出手順>
- 報告用IDの取得:報告用ID(Income Tax Department Reporting Entity Identification Number - ITDREIN)の取得をインド所得税ポータルから行う。
- 報告担当取締役の登録:上記ID取得後、報告担当取締役の情報を登録する。
- 対象取引の報告:報告義務の対象となる取引を所定の様式Form 61Aに記載を行い、インド所得税ポータルより報告を行う。報告に際しては上記2で登録を行った取締役の電子署名証書(Digital Signature Certificate - DSC)が必要となる。
金融取引報告書の提出義務を怠った場合には、所得税当局は義務違反の期間に渡って1日あたり500ルピーのペナルティを課す場合があります(1961年インド所得税法第271FA条)(2025年インド所得税法第454条)。また、所得税当局から税務通知が発行され30日以内に金融取引報告書を提出するよう指示されたにも関わらず、提出義務違反が続く場合には、ペナルティ額は1日あたり1,000ルピーに増額します。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


