インド進出を検討する際に、新規で工場設備へ投資を行うのも一つの選択肢ですが、他国で使用している中古設備機械を持ってくるというのも一つの選択肢として検討可能です。中古設備機械の輸入は、多少の手続き上の煩雑さを伴うもののリスクの高いインド事業への初期投資額を抑えたり、他国の余剰設備を活用できるなどメリットも多くあります。従来は、10年以上の中古設備機械や残存耐用年数が5年以上なければならないなどの規制があったが近年緩和されつつあります。今回は、中古設備機械の輸入方法にかかるコンプライアンスに関して以下の通り説明します。
1. 中古設備機械の輸入要件
ほとんどの品目に関しては制限と言えるほどの制限はないが、以下の通り輸入に関する要件が定められています。但し、輸入に関する規制は刻々と変化・改正されており常に輸出手続き前に最新の要件を確認することをお薦めします。
品目 | 輸入ポリシー | 輸入要件 |
i. パソコン・ノートパソコン ii. コピー機・プリンター等 iii. エアコン iv. ディーゼル発電機 |
制限品目 | 要認可取得 |
手直し等を施した中古の投資財予備品(Spare Parts) | 自由 | 新品に比べて少なくても80%以上の残存寿命(劣化率20%以内)の証明 |
その他の中古設備機械 | 自由 | 要認可取得 |
2. 中古設備機械輸入に必要な証明書の取得
インドへ中古設備機械を輸入する際には、インド政府指定の書式にて検査証明書(Chartered Engineer’s Certificate: CEC)を取得する必要があります。検査証明書では、残存寿命や関税評価データ等の証明を行います。これらの検査証明書は輸入通関の際に、税関に提出することが義務付けられています。
3. 検査証明書発行機関
以下の機関で、インド政府指定の検査証明書の取得が可能です。
お問合せ先:
一般社団法人 日本海事検定協会
営業センター 検査第一営業チーム
TEL: 03-3454-7633 / FAX:03-3454-7634
mail: honbu-kns-3-gp@nkkk.or.jp
※証明書取得方法の詳細は、上記問い合わせ先に直接ご確認ください。
4. 検査内容
・ 機械設備の名称、仕様、原産国、製造番号、製造年等の明細
・ 製造者情報(住所や電話番号、Web サイトなど)
・ 試験内容とその結果や稼働試験等の現状確認
・ 修理及び整備記録(年月/内容/費用)
・ 見込まれる残存寿命と総寿命
・ 輸出インボイスとその内訳
・ 輸出諸掛(インド側 Buyer 負担となるもの)
・ 推定新品価格データ(CIF 換算)
・ 購入価格データ
・ 予備品の状態(復旧状態や劣化具合、残存耐用年数 80%) (予備品検査の場合)
※提供:一般社団法人 日本海事検定協会
最後に、中古設備機械の輸出・輸入手続きに関しては物流会社のサポートが欠かせません。証明書の取得プロセスから情報共有を行いスムーズに輸入通関手続きが行えるように手配しておくとよいでしょう。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |