インドでは、時速200キロ以上の運行速度を持つ列車を高速列車(High speed rail-HSR)と定義している。現行の最速列車はデリー・アグラ間で運行される列車で時速160キロで運行されている。インド国鉄としてはその他の列車についても現行の軌道を利用しつつ時速160キロでの運行を目指し、最終的に時速200キロまで引き上げたいと考えています。
2014年の総選挙で誕生したモディ首相率いるBJP政権は、ダイヤの四角形構想(全長5,846キロ)としてデリー・ムンバイ・チェンナイ・コルカタの4都市を高速鉄道で結ぶことを発表した。また、最初の区間として最高速度320キロ、全長500キロのムンバイーアーメダバードを日本をパートナー国として高速鉄道を建設することを承認。工事開始は2017年で、完了は2023年を予定しています。総工費は9800億ルピーを予定しており、費用の一部は日本からの円借款を活用し、総工費の80%まで最大拠出する予定です。
既にJICAは円借款案件の詳細設計調査業務の契約予定者として、JR東日本グループの日本コンサルタンツを選定。同社以外の企業からの参加意思の確認とあるが、実質高速鉄道(新幹線)のノウハウを保有しているのは日本コンサルタンツのみで、事実上決定している。契約決定後、その業務が開始される予定です。
しかしながらインド国内からは、その建設コストの高さから批判的な意見もあがっています。インド国鉄の収入は乗客運賃と貨物運賃があるが、乗客運賃は鉄道が庶民の主要な交通手段となっているため思うように値上げができておらず赤字が継続しています。現状の乗客1名1キロ当たりの赤字は0.23ルピー、2014年度で約3000億ルピーの赤字を出している。かろうじて貨物運賃での収益で黒字になっている状態。またムンバイ‐アーメダバード間は既存の鉄道や航空便でも接続されていることから新幹線建設費用を拠出するのであれば、既存路線の近代化に使用した方が効率がよいとの意見もあがっています。
もう一つの課題は、ムンバイ市内へ建設予定のターミナル駅用地の取得。既にムンバイ市内は慢性的な土地不足で既存の道路インフラの整備もままならない状態です。その中で高速鉄道専用ターミナル駅を新設しようとした場合適切な用地が確保できない可能性が上がっています。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |