インド企業省(Ministry of Corporate Affairs - MCA)は、2020年10月20日付で通達(36/2020)を発し2020年度は居住取締役の要件を満たさない場合であっても、会社法上のコンプライアンス違反と見做さない旨を発表しました。
2013年インド会社法第149条3項では、全ての会社には少なくとも1人以上の居住取締役(当会計年度中に合計182日以上、インドに滞在している取締役)を任命することが要求されています。
インド企業省は既に2020年3月24日付の通達(11/2020)にて2019年度の居住取締役の要件の緩和を発表しており、今回の発表によりその適用範囲が2020年度も対象とすることになり両年に要件緩和が適用されることになりました。
実務的にはコロナ禍において、多くの駐在員がインド国外に一時退避している日本企業にとっては朗報と言えますが、発表タイミングが2020年度の残り日数が182日を切ってからの発表であり、コンプライアンスを重視する多くの企業では既に代替の居住取締役の選任や日数を満たすために臨時便でのインド帰国などを果たしており効果は薄いという声もあります。