移転価格税制の文脈でインド所得税法は関係会社間取引を規定していますが、GST法にも関係会社(Related Persons)の定義があり、代理人を介さない関係会社間取引は公開市場価格(Open Market)等で取り行うよう求めています。
GST法にも関係会社の定義
CGST法第15条では、下記の該当する者が関係会社(Related Persons)に該当すると規定しています。
- 一方が他方の事業の役員(officers)又は取締役(directors)である場合
- 互いに事業における法的なパートナーである場合
- 雇用主と従業員の関係を持つ場合
- 一方が他方の 25%以上の議決権・株式を直接・間接的に所有、支配、保有する場合
- 一方が他方を直接・間接的に支配する場合
- 互いに、共通の第三者に直接・間接的に支配される場合
- 共同で直接・間接的に第三者を支配する場合
- 同じ家族の一員の場合
関係会社間の取引
GST法の規定する供給(Supply)とは、対価を伴う物品・サービスの提供を指すため(同法第7条)、対価の伴わない物品・サービスの提供は、基本的にはGST法下では供給(Supply)とみなされません。ただ、関係会社間取引に関しては、たとえ対価の伴わない物品・サービスの提供やサービスの輸入であっても、事業の過程で提供される物品・サービスの提供は供給(Supply)に該当します(同法スケジュールⅠの2,4)。ただ、関係会社間取引の内、雇用主から被雇用者への1会計年度において5万ルピーを超えない贈答品は、供給(Supply)とはみなされません。
次に、関係会社間取引の価格決定方法についてです。移転価格税制では関連者との国際取引や特定国内取引は独立企業間価格(Arm's Length Price - ALP)でなければならないとされています(インド所得税法第92条)。同様に、CGST法細則第28条でも代理人を介さない関係会社間取引は公開市場価格(Open Market)等で行うよう規定しています。この関係会社間取引の取引価格の決定方法はDistinct persons間での取引価格の決定方法と同様です。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |