仮納付(Under Protest)とは、インド税務当局が更生通知(Order of Assessment)等で指摘する内容に同意できないものの、担保金として自主納付することを指し、訴訟の場で納税者の主張が認められれば返納を受けることを前提とした支払いになります。なお税務調査に限らず、インド商習慣上、支払いに同意できないものの仮で支払う際には、当該支払いは仮納付(Under Protest)である旨の意思表示をしたうえで支払いを行うこともあります。ただ、仮納付(Under Protest)での支払いは、必ずしも当該支払いの返金保証を提供するものではない点に注意が必要です。
インド所得税法が規定する税務訴訟の所得税コミッショナー(Commissioner of Income Tax(Appeals) - CIT(A))や税務高等裁判所(Income Tax Appellate Tribunal – ITAT)に不服申し立てや上訴する際に、納税者が支払う預託金も仮納付(Under Protest)の一種と言えます。この預託金も納税者に有利な決定が出れば返金される性質です。
一旦、更生通知で更正処分された税額の全額を仮納付(Under Protest)として納税し、追加の利息発生を止めた上で、改めて訴訟の場で更正処分の内容をインド税務当局と争うことも考えられます。
執筆・監修
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
新井 辰和 | Tatsuo Arai |