対価の支払時に徴収された源泉徴収税(Tax Deducted at Source - TDS)は、被源泉者のPAN番号と紐づけられ、被源泉者は所得税申告の際に所得税額の納税額から徴収済みTDS額を差し引くことが可能になります。よってTDSは所得税の前払いの性質があると言えます。一方で、所得税申告の際に徴収済みのTDS額がその税務年度の所得税額を超過している場合には、納税者は徴収済みのTDS額の内、超過分を還付申請することになります。ただ、還付がされるのは所得税申告後であり、所得税額を超えるTDSの徴収は、納税者の運転資金管理に問題を生じさせる可能性があります。そこで、納税者は所得税当局に対して、 TDS軽減税率証明書(Lower Deduction Certificate)又はTDS免税率証明書(Nil Deduction Certificate)の発行の申請を行うことができます。納税者はこれら証明書を、対価等の支払者に共有することでこれらの証明書に記載された軽減TDS税率又は0%で源泉徴収してもらうことが可能になります。
TDS軽減税率証明書の取得
これらの証明書は、納税者の見積もる所得税額が軽減TDS税率で源泉徴収すること又はTDSをそもそも源泉徴収しないことが正当であると、所得税当局が判断した場合に発行されます(1961年インド所得税法第197条1項)(2025年インド所得税法第395条1項)。インド内国法人、外国法人、個人等の納税者の区分によらず、いずれの納税者であってもこられの証明書を申請することができますが、申請にはPANの取得が必須です。なお、これらの証明書の発行はForm 128(旧Form 13)という様式で、電子署名証書(Digital Signature Certificate - DSC)又は電子確認コード(lectronic Verification Code -EVC)で認証した上で、申請を行う必要があります(1962年インド所得税法規則第28条)(2026年インド所得税法規則第213条)。
小規模の納税者のこの証明書の取得負荷を低減するために、2026年財政法で改正があり、一定条件の下で、所定の所得税当局に電子的に申請し、電子的検証に基づいて証明書を発行または却下できるルートが追加されています(2025年インド所得税法第395条6項)。
執筆・監修
|
鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
|
新井 辰和 | Tatsuo Arai |


