インドでも他国と同様に、資産(Capital Asset)を譲渡した際に発生するキャピタルゲイン(含み益)は譲渡所得として所得税(Capital Gain Tax)が課税されます(インド所得税法第46条)。キャピタルゲインは保有していた資産の性質とその保有期間に応じて下記の通り課税されます(インド所得税法2条29AA項、42A項)。
インドのキャピタルゲイン課税における短期・長期の区分
資産の区分 | 長期キャピタルゲインとみなされる期間 |
上場株式(普通・優先)、上場証券、UTI信託、投資信託(株式型) | 12ヶ月超 |
非上場株式、投資信託(債権型)、不動産(土地・建物・家等) | 24ヶ月超 |
宝石などの動産、その他の資産等 | 36ヶ月超 |
インドのキャピタルゲイン課税期間区分と適用対象の税率
区分 | 条件 | 税率(居住者) | 税率(非居住者) |
長期キャピタルゲイン | 証券取引税(Security Transaction Tax - STT)が課税対象となる上場株式、投資信託(株式型)、事業信託により発生するもの | 10%(10万ルピー超の金額に対して) | 10%(10万ルピー超の金額に対して) |
長期キャピタルゲイン | 上記以外の上場株式・証券等から発生するもの | 10%/20% | 10%/20% |
長期キャピタルゲイン | 非上場株式を非居住者へ譲渡した際に発生するもの | 適用外 | 10% |
長期キャピタルゲイン | その他 | 20% | 20% |
短期キャピタルゲイン | 証券取引税(Security Transaction Tax - STT)が課税対象となる株式・証券 | 15% | 15% |
短期キャピタルゲイン | 上記、証券取引税が対象とならない取引 | 通常の所得税率 | 40% |
※上記税率には別途加算税・教育目的税が別途加算されます。
※インド所得税法112条
キャピタルロスの相殺と繰越
キャピタルロスは、キャピタルゲインのみと相殺可能です。その他の所得とは相殺することはできません。長期キャピタルロスは長期キャピタルゲインのみと相殺可能ですが、短期キャピタルロスは長期・短期のいずれのキャピタルゲインとも相殺可能です。また、キャピタルロスが発生した年度にキャピタルゲインと相殺しきれなかった長期・短期キャピタルロスは最大8課税年度(Assessment Year)繰越が認められています。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |