複数の国に展開する企業が、海外の関連会社との取引価格を、第三者企業との取引価格と異なる金額で行った場合、自身の利益を関連会社に移転することが可能となります。
国を越えて利益が移転することは、利益の移転した国にとっては税収減につながるため、各国では関連会社との取引は第三者企業と同一の水準の価格(独立企業間価格)で行われたものとみなして所得を計算し課税する制度を移転価格税制と言います。
インドもOECD移転価格ガイドラインに準拠し、2001年より導入されています。一方で解釈については国際的な理解と相当な差があり、税務当局と外国企業との間で訴訟になる場合も多々あります。移転価格税制の対象となる取引は、国外関連企者(Associate Enterprise - AE)との取引となります。
国外関連者とは?
国外関連者は、インド所得税法第92条に以下のいずれかに該当する者と規定されています。
- 他方の企業の26%以上の議決権を有する株式を直接又は間接的に保有している企業
- 上記企業の26%以上の議決権を有する株式を直接又は間接的に保有している人物又は企業
- 総資産の簿価額50%以上の貸付を行っている企業
- 貸し付け額の10%以上の保証を行っている企業
- 取締役会の半数以上の取締役を任命、又は1名以上の常勤取締役を任命している企業
- 製品の製造・ビジネスが一方の企業のノウハウ、特許、知的財産、商標、ライセンス及びその他の商業的権利に完全に依存している場合
- 製造・加工に使用される90%以上の原材料又は消耗品が特定の人物又はその他の企業の影響を受けている場合
- 共通の利害関係を有する場合
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |