インドでの所得税申告義務があるにもかかわらず、所得税申告をしなかった納税者にはどのようなペナルティや罰則があるのでしょうか?関連会社と国際取引をしている場合には、Form3CEBや移転価格文書(TP Documentation)のコンプライアンス対応が必要になる事もありますが、これらの移転価格に関するコンプライアンス違反に係るペナルティも以下でまとめます。
所得税申告義務に関するペナルティや罰則規定
下記の所得税申告の期日以内に所得税申告を行わない納税者には、5,000ルピーのペナルティが課されます。ただし、総所得が50万ルピーを超えない場合のペナルティは1,000ルピーに軽減されます(1961年インド所得税法第234F条)(2025年インド所得税法第428条)。
| 申告者 | 申告期日 | |
| 1 | 移転価格税制のコンプライアンスが適応になる会社 | 対象税務年度の翌年11月30日 |
| 2 | 1.以外の会社 | 対象税務年度の翌年10月31日 |
| 3 | 税務監査等の監査を受ける個人等 | 対象税務年度の翌年10月31日 |
| 4 | 税務監査等の監査を受けるファームのパートナー | 対象税務年度の翌年10月31日 |
| 5 | 1~4.以外の個人等 | 対象税務年度の翌年7月31日 |
さらに、意図的に期日通りに所得税申告を行わなかった納税者には、以下の懲役および罰金が科せられる可能性もあります(1961年インド所得税法第276CC条)(2025年インド所得税法第479条)。なお、遅延申告書や更新申告書を申告する納税者は、この懲役および罰金規定の対象外となります。
- 違反が発見されなければ脱税していたであろう税額が250万ルピーを超える場合:6ヶ月以上7年以下の懲役および罰金
- それ以外の場合:3ヶ月以上2年以下の懲役および罰金
所得税当局の税務調査官が課すことができるペナルティ
インド所得税法は、所得税コンプライアンス違反を行った納税者に対して、所得税当局の税務調査官の指示、命令に基づいてペナルティを課すことができる旨も規定しています。ここでは所得税申告の義務違反、Form3CEB申告の義務違反、移転価格文書(TP Documentation)の保管/提出義務違反についてまとめます。なお、Form3CEB申告や移転価格文書(TP Documentation)の保管/提出義務コンプライアンスについてはこちらをご参照ください。
| コンプライアンス違反 | ペナルティ額 | 参照条文 |
| 所得税未申告や過少申告(Under-reported incomeに該当する場合) | Under-reported incomeに係る納税必要額の50%相当 | 1961年インド所得税法第270A条7項 / 2025年インド所得税法第429条9項 |
| 所得税申告や国際取引申告の虚偽申告(Misreporting incomeに該当する場合)*1 | Under-reported incomeに係る納税必要額の200%相当 | 1961年インド所得税法第270A条8項 / 2025年インド所得税法第429条10項 |
| Form3CEBの申告違反 | 100,000ルピー | 1961年インド所得税法第271BA条 / 2025年インド所得税法第447条 |
| 移転価格文書(TP Documentation)の保管義務違反 | 国際取引額の2%相当 | 1961年インド所得税法第271AA条 / 2025年インド所得税法第442条 |
| 移転価格文書(TP Documentation)の提出義務違反 | 国際取引額の2%相当 | 1961年インド所得税法第271G条 / 2025年インド所得税法第457条 |
*1: 以下の場合には、虚偽申告(Misreporting income)に該当することになります(1961年インド所得税法第270A条9項)(2025年インド所得税法第429条11項)。
- 事実の虚偽表示または隠蔽
- 会計帳簿に投資を未記録
- 証拠によって裏付けられない経費
- 会計帳簿への虚偽記載
- 総所得に影響を与える収入を会計帳簿に未記録
- 国際取引、国際取引とみなされる取引または特定の国内取引を未報告
上述のペナルティに加えて、所得税申告の期日までに申告をしない場合には、譲渡所得、事業所得等の損失に関する繰越欠損金(Carry forward of losses)の翌年以降への繰越が認められない等の不利益を納税者は被ることになります(1961年インド所得税法第第80条、139条3項)(2025年インド所得税法第121条)。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


