株主への資金還流の方法の一つとして、自社株買い(Buy Back of Shares)が選択されることがあります。以前のインド所得税法の規定上、自己株買いにて自己株を買戻す会社側が課税対象となっておりました。2024年に税制改正があり、株主へのもう一つの資金還流方法である配当の課税関係と整合を取る形で、2024年10月以降は自己株の対象となる株を保有していた株主が課税対象となります。
2024年10月以降の取り扱い
自己株買いは、対象株式を保有していた株主側でみなし配当として課税されます(1961年インド所得税法第2条22項f号、10条34A項但し書き)(2025年インド所得税法第2条40項f号)。
また、自社株買いをみなし配当としてその他の所得を計算する際に、関連費用の損金算入が認められておりません(1961年インド所得税法第57条但し書きの2)(2025年インド所得税法第93条2項a号)。つまり、株主のその他の所得の計算では、自社株買い対象となる株式の取得価格を自己株買いの対価から差し引くことはできません。ただ、自社株買いの対象の株式の取得価格は譲渡損の繰越欠損金として8年以内に将来の所得と相殺することになります(1961年インド所得税法第46A条但し書き)(2025年インド所得税法第69条2項)。なお、配当に関するその他の所得は総合課税されるため、税率は当該納税者に適用になる法人税率又は個人所得税率です。
【事例】
- A社発行の株式を2020年に100株を@40で購入
- 2024年11月に20株をA社に@60で売却(自己株買い)
- 2025年5月に50株を別の個人に@70で売却
| 2020年の株式購入 | 取得価格:4,000(=100×@40) |
| 2024年11月の自己株買い |
その他の所得:1,200(=20×@60) 譲渡損として繰越欠損金:800(=20×@40) |
| 2025年5月の株式売却 |
譲渡益:1,500(=50×(@70-@40)) 昨年度の繰越欠損金:800 繰越欠損金の相殺後の譲渡益:700(=1,500-800) |
上記の【事例】からも分かる通り、自己株買いに応じた株主は対象株式の取得価格を自己株買い時に受領する対価と相殺できず、繰越欠損金として繰越し翌年以降に発生する譲渡益と相殺する必要があります。ただ繰越欠損金は8年のみ繰り越せる規定であることを考慮すると、8年以内に別の株式等の売却を実行し譲渡益が発生しない場合には、繰越欠損金が消滅してしまうことになります。
参考:従来の制度(2024年9月までの取り扱い)
自社株買い取引から生じる所得に対しては、1961年インド所得税法第115QA条で定められた株式買戻税(Buy Back Tax - BBT)と言われる法人税の一種が、自己株買いを行う会社側に課せられていました。本税は株主は非課税で(1961年インド所得税法第10条34A項)、買戻しを行う会社側で20%(加算税・健康教育目的税が別途課せられます。)の料率で課税されます。BBTは2024年10月以降は廃止となっています。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


