インド所得税法第139条では、インド内国会社(Domestic Company)及びインド外国会社(Foreign Company)を含むすべての会社は所得税申告書(Income Tax Return - ITR)を提出しなければならないと規定されています。よって、日本法人(インド外国会社)であっても、インド子会社やインド国内の取引先から役務提供契約・ロイヤルティ契約や親子ローンの貸付けなどに基づきインド国内源泉の所得が発生している場合は、インドでの所得税申告が必要です。
これらの取引に関してインド側で源泉徴収税(Tax Deducted at Sources - TDS)が源泉徴収されていた場合であっても所得税申告が求められます。他国では源泉徴収のみで課税関係が終了する源泉分離課税方式が一般的ですが、インドでは同方式は採用されておらず、源泉徴収で課税された後であっても申告を必要となります。
必要なコンプライアンス
- 税務年度(4月~翌年3月)の翌年10月31日(国際関連者取引がある場合:翌年11月30日)までに所得税申告書(Income Tax Return - ITR)の申告
- 国際取引が関連会社間で1ルピーでも行われた場合には、税務年度の翌年10月31日までに移転価格証明書(Form3CEB)の申告(インド所得税法第92E条 インド所得税法細則第10E条)
- 多国籍企業グループの構成会社は、税務年度の翌年11月30日までにForm3CEAA PartAの申告(インド所得税法第92D条1項ii号)。
- 国際取引が関連会社間で行われ、かつ年間取引金額が1000万ルピー以上の場合は移転価格の文書化義務(インド所得税法第92D条、インド所得税法細則第10D条1項)
これらのコンプライアンスの義務違反に関するペナルティ等はこちらをご参照ください。
所得税申告が免除されるケース
2023年インド国家予算案にて、所得税法第115A条の規定が改正され、以下の2つの要件を満たす場合、外国会社の所得税申告が免除されます。
- 外国会社の所得が以下の所得のみで構成されていること
- 配当
- 特定の利息
- ロイヤルティ
- 技術役務に対する対価 - インド所得税法(国内税法)第115A条に規定される以上の税率で源泉徴収が行われていること(以下参照)
| 所得の種類 | 税率 |
| 配当(Dividends) | 20% |
| 特定の利息(Interest) | 20% |
| ロイヤルティ(Royalty) | 20% |
| 技術役務に対する対価(Fee for Technical Service - FTS) | 20% |
※別途加算税(Surcharge)、健康教育目的税(Health and Education Cess)が加算され、実効税率は下記の通りです。
| 課税所得 | TDS | 加算税 | 健康教育目的税 | 実行税率 |
| 1,000万ルピー以下 | 20% | 0% | 4% | 20.8% |
| 1,000万ルピー以上~1億以下 | 20% | 2% | 4% | 21.216% |
| 1億ルピー超 | 20% | 5% | 4% | 21.84% |
なお、日印租税条約を適用した場合には10%が法人所得税率(源泉徴収税率)の上限に設定されていますが、10%で源泉徴収された場合には、所得税法第115A条の免除規定は適用にならないため、所得税申告が必要となります。
所得税申告に際して準備が必要となるもの
- 法人PAN 申告書作成の際に、納税企業のIDとして利用される情報となります。法人PAN取得に際しては法人登記簿謄本の公証・アポスティーユ取得したものが必要となり、取得には3週間ほどの期間を要します。
- 申告書への署名者(Authorized Sigatory)のDSC インドの申告書の申告はオンライン化されています。申告書提出の際には、電子署名証書(Digital Signature Certificate - DSC)を添付する必要があります。DSC取得に際しては申請者のパスポート及び住所証明(運転免許証等及びその英訳)が必要となります。
- 源泉徴収証明書(TDS CertificateであるForm 16又はForm 16A)の入手 取引日時、総額、源泉徴収額などの取引の明細を記載した、源泉徴収の証明書(Form16 / Form 16A)が支払企業より発行されます。申告書作成の際には、同様式に記載された取引詳細を参照しますので、申告書作成前に支払企業より入手しておく必要があります。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


