インドの法人税は4月~翌年3月末を税務年度とし、法人の種類および課税所得の額に応じて決定されます。日本では法人の所得については法人税が課税され、個人の所得については所得税が課税されますが、インドではそのような区分はなく、同一のインド所得税法の中で個人および法人に対する所得への課税が規定されています。なお、個人所得税に関してはこちらを参照ください。
目次
インドの法人税の課税対象
インド居住者の会社は全世界所得が法人税の課税対象ですが、インド非居住者の会社はインドで発生、発生した多とみなされるまたはインドで受領、受領したとみなされるインド国内源泉所得のみが法人税の課税対象になります。インド会社法で設立された会社および当該年度の実質的な管理の場所(Place of Effective Management)がインドにある会社はインド居住者の会社となります(1961年インド所得税法第3条、4条、5条)(2025年インド所得税法第3条、4条、5条)。
なお、インドの税務年度は4月1日から3月31日の1年間で固定であり、各法人の採用する会計年度とは連動していません。
インドの法人税率
インドの法人税率は、法人の種類および課税所得の額に応じて決定され、毎年の財政法(The Finance Act)がその年の法人税率を規定します。事業所得 / 不動産所得 / その他の所得は下記の法人税率での総合課税となる一方で、一部の譲渡所得等は一定の固定税率での分離課税が適用となります。インド所得税法は、所得の種類ごとに各所得の計算方法をそれぞれ規定していますが、特に事業所得に関しては財務会計を基に一部の益金、損金を調整したうえで所得を計算します。所得税の計算の手順はこちらでまとめています。
以下では、会社(Company)に適用となる法人税率をまとめます。なお、有限責任事業組合(Limited Liability Partnership - LLP)を含む、ファーム(Firm)の法人税率は30%です。
2025年度(2025年4月1日~2026年3月31日)の会社に適用となる法人税率は下記の表の通りです。法人税率は、法人の種類および課税所得の額に応じて決定されますが、内国会社(Domestic Company)か外国会社(Foreign Company)かで大きく異なります。
| 課税所得が1,000万ルピー以下 | ||
| 法人税率 | 実効税率 | |
| 内国会社(2023年度の総売上や総受領高が40億ルピー以下) | 25% | 26% |
| 内国会社(2023年度の総売上や総受領高が40億ルピー超) | 30% | 31.2% |
| 外国会社 | 35% | 36.4% |
| 課税所得が1,000万ルピー超1億ルピー以下 | ||
| 法人税率 | 実効税率 | |
| 内国会社(2023年度の総売上や総受領高が40億ルピー以下) | 25% | 27.82% |
| 内国会社(2023年度の総売上や総受領高が40億ルピー超) | 30% | 33.38% |
| 外国会社 | 35% | 37.128% |
| 課税所得が1億ルピー超 | ||
| 法人税率 | 実効税率 | |
| 内国会社(2023年度の総売上や総受領高が40億ルピー以下) | 25% | 29.12% |
| 内国会社(2023年度の総売上や総受領高が40億ルピー超) | 30% | 34.94% |
| 外国会社 | 35% | 38.22% |
実効税率とは法人税率に健康教育目的税(Health and Education Cess)の固定税率4%および下記の所得金額に応じた加算税(Surcharge)が加えられた税率です。
| 内国会社 | |
| 課税所得 | 加算税率 |
| 1,000万ルピー以下 | 0% |
| 1,000万ルピー超~1億ルピー以下 | 7% |
| 1億ルピー超 | 12% |
| 外国会社 | |
| 課税所得 | 加算税率 |
| 1,000万ルピー以下 | 0% |
| 1,000万ルピー以上~1億以下 | 2% |
| 1億ルピー超 | 5% |
また内国会社に限り、各種の一定の所得控除等を利用しないことを条件に、軽減税率22%(実効税率:25.17%)を任意で選択可能となりました(1961年インド所得税法第115BAA条)(2025年インド所得税法第200条)。また、上記と同様の条件を満たしかつ、2019年10月1日以降に設立され2024年3月31日までに製造開始した製造業の内国法人の場合には15%(実行税率:17.16%)の法人税率が適用されます(インド所得税法第115BAB条)(2025年インド所得税法第201条)。しかし、製造開始期限である「2024年3月31日」の延長は2024年度の予算案では発表されず、実質的には2024年以降に法人設立を検討する企業はこの新税率を選択できないことになります。
なお、インドにはインド特有の最低代替税(Minimum Alternate Tax - MAT)とよばれる法人税の一種の税金があります。インド所得税に基づいて算出された法人税額が会計帳簿上の利益(調整後)の15%を下回る場合には、MATを支払う必要があります(1961年インド所得税法第115JB条)(2025年インド所得税法第206条)。一方で軽減税率22%/15%の新法人税率を採用する場合、MATは適用対象でなくなります。MATの詳細はこちらを参照ください。
インドの法人税の納税方法
インドでは見積もり税額に対して、予定納税(Advance Tax)と呼ばれる形式で法人税を年4回の中間納付することが義務付けられています。予定納付した税額が確定した法人税額の金額を上回る場合には還付の対象となります。
予定納税すべき納税額が1万ルピー以上の場合には見積もり税額に対して予定納税方式で年4回の中間納税することが義務付けられています(1961年インド所得税法第208条、209条、211条)(2025年インド所得税法第404条、405条、408条)。四半期ごとの予定納税の納税期限は下記の通りであり、予定納税での納税不足分については翌年の所得税申告時までに自主申告納税する必要があります(1961年インド所得税法第140A条)(2025年インド所得税法第266条)。
| 納税期限 | 納税額 |
| 6月15日 | 見積もり税額の15% |
| 9月15日 | 見積もり税額の45% |
| 12月15日 | 見積もり税額の75% |
| 翌3月15日 | 見積もり税額の100% |
下記に該当する場合には月当たり1%の延滞利息が発生するので注意が必要です(1961年インド所得税法第234B条)(2025年インド所得税法第424条)。
- 予定納税義務があるにもかかわらず予定納税を行わなかった
- 予定納税額が納税必要額の90%未満であった
さらに、所得税申告が期日通り行われずかつ、所得税の未納額がある場合や上記の表の納付割合通りに予定納税されていない場合にも月当たり1%の延滞利息が発生します。延滞利息の詳細は例示とともにこちらにもまとめています。
繰越欠損金の取扱い
税務上の赤字がある場合は、繰越欠損金(Carry forward of losses)としてその損失は翌年以降に繰り越すことが可能です。繰越欠損金を将来8税務年度まで繰り越すとことが可能です(1961年インド所得税法第72条)(2025年インド所得税法第112条)。なお、繰越欠損金の控除を使用するには、欠損金の生じた年度において適切に税務申告書を提出し、その後の税務年度においても連続して税務申告書を提出している必要があります。
なお、繰越欠損金を有する特定会社(a company in which the public are substantially interested)でない会社のうち49%超の議決権を有する株式譲渡等による持ち分の変更があった場合、欠損金の繰り越しを適用することができません。一方で適格スタートアップの要件を満たす会社については、設立から10年間分の欠損金繰越が適用されます(1961年インド所得税法第79条1項)(2025年インド所得税法第119条3項)。
法人税の所得税申告
すべての会社は所得税申告書(Income Tax Return - ITR)を申告する義務があり、所得税申告の期限は翌年の10月31日です。ただし、1ルピーでも国際関連者取引(International Transaction)を行ったことで移転価格税制のコンプライアンスが適応される会社の場合、その所得税申告の申告期限は11月30日まで延長されます(1961年インド所得税法第139条)(2025年インド所得税法第263条)。なお、所得税申告義務があるにもかかわらず、申告を行わなかった場合のペナルティ等はこちらをご参照ください。
インド内国会社が所得税申告を行う際には、会社のManaging director(代表取締役)の電子署名証書(DSC)を使用して電子署名を行う必要があります(1961年インド所得税法第140条1項c号)(2025年インド所得税法第265条)。避けようのない合理的な理由でManaging Directorが電子署名を行えない場合には、当法人のその他の取締役等が電子署名することも認められております。一方で、日本本社のようにインド居住会社でない場合には例外規定があり、有効な代理委任状(Power of Attorney)を持つ第三者が電子署名を行うことが認められています。第三者が電子署名を行う場合には、代理委任状を申告時に添付することが求められております。
執筆・監修
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鈴木 慎太郎 | Shintaro Suzuki |
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新井 辰和 | Tatsuo Arai |


